2010年03月09日
伊根町の選択
海からみえる、”舟屋”が肩寄合ってつくる独特の景色。
伊根町の伝統的建造物群保存地区は、いわゆる「文化的景観」という捉え方/概念の、日本での先駆けとなった地区です。(文化庁の才媛が相当の尽力をされた結果でもあります)
ここでは、”建造物群保存地区”という言葉の意味は拡張されて、建物だけではなく、その背景になっている水際、山裾などの自然を含めた地区の総体が、保存保全の対象になっています。
舟屋と海との機能的に不可分の関係もそうだし、船の上からみた舟屋の群と山並み。元あった環境あっての人工的な構造物は、身の丈をわきまえたもので、それ故に美しい景観が生まれています。
そんな伊根町の、舟屋の幾つかは民宿になっているのですが、70年代には(舟屋ではない)一般の民宿も含めて60軒以上あったそれらも、今や半減。
一方では、舟屋に泊まってみたいという観光客のニーズも徐々に増えてきているとか。
そこで伊根町では、町独自の予算(22年度)で、民宿の開業や建物の改修費などへの金銭的な支援をすることに決めたー
エラいぞ!!
ちなみに、開業の際の運転資金の支援額は、月額10万円を2年間!
太っ腹ぢゃないか 伊根町さん!!
まち全体で、滞在型の観光地にしていこうとの意欲が感じられますね。残すものを、キッチリ残して、観光資本にする。結果、まちの魅力は高まって、外貨(観光客による)を得ることができる。
ここで「観光資本」といったのは、建造物や自然などの”資源”を、貨幣換算して”資本”と捉えなおさないと、現時点で先行して幾らまで改修などへの投資をしていいのか、将来それが観光収入で回収できるかどうかの判断ができない筈だからです。
別の言い方をすれば、”資本”と何かの事業で得られる対価とを、比較対照しておかないと、バカげた開発をしてしまうということ。(例えば、観光都市の首府の目の前に変てこな自転車置き場をつくったりということになるーー)
失礼を承知で言うのですが、そんなに豊かな地域ではないでしょうし、まちにとっての負担は少なく無いというのが分かっていただろう状況で、 正に 大英断 された伊根町議会の皆さんには、心から敬意を表します!
公共事業というのは、(それが民間への資本提供であったとしても)この例のように、何十年先を見通したチャンとしたビジョンがないとダメですよね。
伊根町公式ホームページ
http://www.town.ine.kyoto.jp/
図版は 伊根町オフィシャルチャンネル
http://ch.yahoo.co.jp/ine-town/
第14回伊根町観光写真コンテスト入賞作品より引用しました
ところで、、 続きを読む
Posted by mi-se kyoto at
05:11
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